【提案から契約締結まで】業務委託契約の流れと理想的な契約の進め方

フリーランスや個人事業主の場合、クライアントと取引を開始するときは、「業務委託契約」を結ぶことになります。業務委託契約を結ぶ際にはどのような流れで進んでいくのか、理想的な契約の進め方はどういった方法があるのかなど、印紙や使用する印鑑に関する基本的な知識を踏まえて解説していきます。

 


業務委託契約の一般的な流れ

①提案・見積もり

まず、どのような業務をどれくらいの金額でできるのかを、クライアントへ文書で提示しましょう。スキルを証明できるポートフォリオなどを明示したうえで、現実味のある料金や納期、クオリティなどを提示します。また、交通費など費用が掛かる場合は併せて提示するとよいでしょう。

 

②契約条件の交渉

クライアントと提案や見積もり内容について合意できれば、契約条件の交渉に入ります。クライアントの要望を受け入れるばかりではなく、フリーランス側も要望があればクライアントに提案しましょう。

 

③契約書作成

クライアントと合意ができれば、契約書作成に入ります。一般的にはクライアント側から契約書を提示される場合が多いですが、自分にとって不利な条項が記載されていないかどうか、内容をしっかり読み込みます。最低限、支払期間・クライアント側の連絡先・契約期間・契約日・損害賠償・経費負担の項目などは念入りに確認しておきましょう。

 

④契約の締結

契約書の内容について合意できれば、契約を締結します。契約書を2通作成し、2通とも契約当事者それぞれが署名・押印をして、双方で1通ずつ保管します。契約書は必要になったときにすぐに取り出して参照できるよう、契約書専用のファイルを用意し、その中に入れて保管するようにしましょう。

個人事業主の場合、5年間以上保管することが望ましいです。

 


契約書作成時の捺印について

押印の種類

契約書作成時に使用する押印には「割印」「訂正印」「捨印」の3つの種類があります。
割印とは、文書が一体のものであることを示すためにつなぎ目に押す印鑑のことを指します。また、訂正印とは、記載事項の訂正・追加・削除のために使用する印鑑のことです。

捨印とは、記載事項に軽微な不備や訂正事項があったときに備えてあらかじめ同意するために押すものですが、勝手に条項を修正・変更されるおそれもあるため避けたほうが良いでしょう。

契約書の捺印に使用する印鑑は何がいい?

捺印に使用できる印鑑には、実印と認印があります。実印とは居住地の住所を管轄する役場に印鑑登録した印章のことを指します。本人の捺印がある場合は、契約が真正に成立したと推定されますが、実印であれば、より証拠能力も高いと考えられているため、契約書に捺印するときには実印を使用するとよいでしょう。

印紙は必要?

どのような契約書に印紙が必要になるかは、印紙税法に定められています。契約書が課税対象文書に該当する場合は、記載されている言語が日本語・英語などにかかわらず、所定の金額の印紙を貼って、消印をすることによって納税することが必要です。

 

印紙が必要な契約書に印紙がないものは違法

法律で定められた印紙が貼っていなければ、印紙税法上の過怠税や刑事罰の対象となります。しかし、印紙税法違反をしても契約の効力については何ら影響を及ぼすことはありませんので、留意しておきましょう。


理想的な契約の進め方のポイント

①見積もりの金額はやや高めに設定する

見積もりの金額をクライアント側に提示するときは、合理的な範囲内でやや高めの金額を提示します。クライアント側はできるだけ安い金額で発注したいと考えるので、金額の最低ラインを示してしまうと、最低ラインの金額で契約せざるを得なくなる可能性があるからです。

 

②契約書はフリーランス側から提示する

業務委託契約書を交わす際は、自分で作成した契約書を相手方に提示する方法と、相手方が作成した契約書を受け取る方法があります。フリーランスの場合はクライアント側から提示されることが多いですが、できるだけこちら側に有利な契約ができるよう、できればフリーランス側から先に提示することをおすすめします。

 

③どうしても譲れない「ボトムライン」を決める

フリーランス側はクライアント側に比べて力関係で不利になりがちですが、最低限譲れない条件である「ボトムライン」を決めておきましょう。「このボトムラインを下回るような条件を相手方が提示してきた場合は、破談もやむなし」という姿勢で交渉すれば、相手方も譲歩してくれるかもしれません。

クライアントと契約を結ぶときは、後々苦労することのないよう慎重に契約書の内容をチェックすることが必要です。不利な条項の見落としがないかどうか不安がある場合は、AI-CONなどの契約書チェックサービスを利用すれば、契約書に潜むリスクを把握できます。

そうすれば、相手方に修正を求めることもできます。

 


クライアントと気持ちよく取引関係をスタートするためにも、契約書の内容のチェックだけはくれぐれも怠らないようにしましょう。