政府も動き出した業務委託契約の見直し~不利な契約には要注意〜

2016年から政府主導で始まった、多様な働き方を選択できる社会を目指すことを目的とした働き方改革。これを受けて、フリーランスとして雇われない生き方を選ぶ人が増えています。

クラウドソーシングの大手ランサーズが2017年に発表した「フリーランス実態調査2017」によると、2017年時点でのフリーランス人口は1,122万人にものぼると言います(※)。専業・兼業含め、人口の約17%がフリーランスとして仕事をしていることになりますが、この傾向はしばらく続くことが予想されます。

 

フリーランスが抱える業務委託契約に関する問題点

そんな中、フリーランスの現状がメディアで盛んに取り上げられるようになり、フリーランスがクライアントと結ぶ業務委託契約に関する問題点が徐々に浮き彫りになってきました。

主な問題点は以下の通りです。

 

①契約条件が明示されない

クライアントとフリーランスの間で、納期や報酬金額などが具体的に明示されないまま、簡単なメールや電話などのやりとりだけで仕事がスタートしてしまうことがあります。契約書が作成されないまま、フリーランスが仕事をさせられているケースも少なくありません。

②報酬の未払い・遅延など

成果物を納品したのに報酬が支払われない、合意した期日より支払いが遅れる、報酬が不当に減額されるなどの問題も深刻です。また、クラウドソーシングサイトを中心に著しく低い報酬で発注がなされるケースや、当初の仕様にない補修を無償で何度も要求されるケースもあります。

③競合他社との取引制限

また、クライアントが有利な立場を利用して、競合他社との取引を制限する事項を契約条件に入れ、フリーランスの自由な取引を妨害しているケースもよく見受けられます。こうした不当な囲い込みによるトラブルも相次いでいるといわれています。

 

政府もフリーランスの処遇改善に乗り出している

以上のような問題を受けて、公正取引委員会を中心に政府もフリーランスの処遇改善に乗り出しました。本稿の執筆時点(2018年4月現在)では、以下のような施策が公表されています。

 

業務委託契約に関するガイドラインを公表

2017年12月、厚生労働省の「柔軟な働き方に関する検討会」が、契約に関する紛争を防止したり、契約条件の文書明示や適正化などを目的に「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン(案)」を公表しました。これは、フリーランス自身だけではなく、発注者や発注者とフリーランスを仲介する仲介業者にも適正な実施の実現を働きかけている点が大きな特徴です。

 

不当な囲い込みや成果物の利用・転用制限が独占禁止法違反に

また、公正取引委員会も、フリーランスの活動の保護を目的として、企業のフリーランスの過剰な囲い込みや他企業との取引制限が、「優越的地位の濫用」に当たり、独占禁止法に違反する可能性があることを示唆しています。そのため、不利な契約条件の押し付けや秘密保持義務を盾にした不当な囲い込み、合理的理由のない成果物の二次的利用制限などは独占禁止法で今後規制されていくことが予想されます。

 

最低基準額導入の検討

さらに、著しく低い報酬で仕事が発注されているケースが多発していることを受けて、政府は最低基準額の導入の検討も始めています。しかし、フリーランスの業務は多種多様であり最低報酬を定めるのは難しいこと、あえて戦略的に低価格で業務を請け負っているフリーランスもいること、企業側にとって「最低報酬額さえ払えばよい」という免罪符を与えることになりかねないことなどから、反対意見も多いのが現状です。

 

フリーランスも契約に潜むリスクを知って自己防衛しよう

政府がフリーランスの処遇改善に乗り出していることもあり、フリーランスの労働環境は少しずつ改善されています。しかし、フリーランス自身も自分が不利な立場に立たされないよう、自己防衛をすることも今後必要になってくるでしょう。

 

不利な契約内容があればクライアントと交渉しよう

クライアントと業務委託契約を締結するときは、契約書の内容をよく読み込みましょう。
取引が開始すれば、合意した契約書の内容がすべてです。後々不利な条件を突きつけられることのないよう契約内容をチェックし、問題と思われる条項があれば勇気をもって修正を申し出ることも大切です。なぜなら、契約書の修正要求があることを念頭に置いて、あえて極端な契約書を作るケースもあるからです。

 

契約書を弁護士の目線でチェックしてもらうことも大切

契約書の内容に問題ないかどうかの判断に迷うときには、契約のプロである弁護士にチェックしてもらうことも大切です。初回の法律相談を無料としている法律事務所も多いので、まずは相談に行ってみることをおすすめします。弁護士に相談することに二の足を踏んでしまう方は、AI-CONのようにオンラインで契約書の内容をチェックしてもらえるツールも利用すると良いでしょう。

 


フリーランスにとって不利な業務委託契約が法律などで規制されるようになれば、フリーランスもクライアントと対等な立場で仕事がしやすくなるでしょう。しかし、フリーランス自身も自らの身を守るために、新規のクライアントと取引を始めるときは、細心の注意を払って契約内容をよく確認することが大切です。