プログラマーがフリーランスとして独立する際に知っておきたい契約リスクとは

フリーランスとして働く人が増えている昨今、IT系企業などでプログラミングの経験を積んだから独立しようと考える方も多いでしょう。しかし、Webプログラマとして独立するのであれば、法務的な観点からいくつか知っておくべきことがあります。本記事では、フリーランスのWebプログラマが独立する際に知っておきたい契約リスクについて解説します。

 

支払期日・方法を契約で明確に定めておく

請負契約の性質を知っておこう

Webプログラマの場合、業務委託契約書を交わすときは「請負契約」と呼ばれる形式の契約を交わすことが多いと考えられます。これは、請け負った仕事を完成させて初めて報酬が支払われるというものです。法律上は仕事を最後まで完成させなければ発注者に対して報酬を請求できないとされています。しかし、仕事をほとんど完成させている状態でも報酬が請求できないのは請負人にとって酷であるということから、過去の判例では仕事を最後まで完成させていなくても一定の場合には仕事を終えている分だけクライアントに対し出来高の報酬を請求できると判断されています。(最判昭和58年2月17日裁判集民132号129頁)

作業工程ごとに報酬や支払期日を設定する

Webプログラマが請け負う仕事は報酬が100万円以上になることもあり、この金額が仕事を完成するまで支払われないとなると、生活に支障をきたす可能性が高くなります。また、万一報酬の未払いが発生したときには大きな損失を出すことにもなるでしょう。したがって、実際に契約書を交わす際には、作業工程を細かく分けて、工程の段階ごとに委託報酬の金額や支払期日を設定するなどの工夫が必要です。また、その際には、工程の段階を曖昧にしないようにする必要があります。工程の段階が不明確な場合、その工程をクリアしているか否かもってトラブルになりうるからです。

 

瑕疵担保責任(契約不適合の場合の修補義務)には期限がある

瑕疵担保責任とは

また、瑕疵担保責任にも注意が必要です。瑕疵担保責任とは、完成品に一見わからないような品質や性能上の不具合があった場合に、受託者の責任で修繕する義務や損害賠償義務を負うことを言います。一度完成品を納入すれば、受託者は債務不履行責任を負わないことが多いといえますが、何か完成品にトラブルがあった場合は瑕疵担保責任のもとで修繕していくことになります。

瑕疵担保責任の期限は完成品を納品してから1年以内

ただし、瑕疵担保責任の追及期間には「完成品の納品後1年以内」という期限があります。2020年4月1日以降は契約不適合という名称に変わり、それに伴い期限も「注文者が不適合を知った日から1年以内」と変更されます。この期間を過ぎると、委託者は無償で修繕を求めることができなくなりますので覚えておきましょう。

 

「偽装請負」にならないように注意!

契約形態に注意

特に、「常駐型フリーランス」としてWebプログラマが業務を請け負うときには、「業務委託契約」を締結するのか、「派遣契約」を締結するのかをよく確認しておくことが大変重要です。派遣契約であれば、派遣会社と労働契約を結び、常駐先の指揮命令下で業務を遂行することになります。一方、フリーランス向けの人材紹介会社と業務委託契約を結ぶ場合は、常駐先の指揮命令を受けずに自己裁量で業務を行うことになります。

偽装請負には罰則規定がある

もし、業務委託契約を交わしているにもかかわらず、常駐先の指揮命令に従って業務を行っている場合は「偽装請負」となり、受託者が1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。さらに、万一業務遂行中に事故が発生してケガを負った場合は、委託者が労働安全衛生法上の責任を問われることもあります。

 

著作権の帰属をどうするかも契約書で決めておく

著作権は著作物を作った人が保有するもの

プログラムは著作権法上「プログラムの著作物」として著作権法の保護対象であり、契約に特別な定めがない限り、著作権は受託者が保有することになります。また、公表権・氏名表示権・同一性保持権を含む著作者人格権も一身専属の権利であり譲渡できないものと規定されています。

実務上の注意点

業務委託契約書では、「著作権はすべて委託者に帰属する/移転する」とされることが多い傾向があります。しかし、著作権法上、著作物を翻訳・変形できる翻案権や、二次的著作物の利用に関する現著作権者の権利は、もともとの著作権者である受託者に留保されています。これらの権利を含めて「委託者に譲渡する」とし、著作者人格権についても「(受託者は)行使しない」と明記されていることが一般的です。

受託者からすれば、利用するプログラムの中に汎用的に利用できるものや、従前より権利を保有するプログラムが含まれている場合、著作権をすべて譲渡するとそれらプログラムも一切利用できなくなってしまいます。したがって、契約書には「汎用的に利用可能なプログラム及び従前より権利を保有するプログラムを除き」という文言を入れておく方が賢明と言えるでしょう。

 

おわりに

フリーランスだからこそ自衛をしっかりとる

Webプログラマは報酬が高額になるケースが多いため、守るべき権利はきちんと行使しなければ経済基盤にも関わります。不利な契約書を結ばされないよう、契約を締結する前にはオンラインのリスク判定サービスAI-CONなどのツールを使って内容に法的な問題がないかチェックしておきましょう。

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