【個人 対 企業】契約の進め方 ~個人と企業間と企業同士はどう違う?~

フリーランス人口の増加に伴い、フリーランスや個人事業主などの個人が企業と業務委託契約を結ぶことが増えています。
個人が企業と契約を結ぶ場合は、力関係に差があることから個人が不利になりやすく、実際に取引が始まってからトラブルになるケースも増加していますが、個人が企業と契約を結ぶ場合と、企業間で契約を結ぶ場合とで何か違いはあるのでしょうか。

 

企業間で契約書を締結する場合の進め方

企業間では特に、何かトラブルが起こったときに備えて契約書を交わします。法務部門を設置している会社でも、契約の直接の交渉自体は、営業部門などの実務担当者同士で行うケースもあります。

企業間の契約交渉では顧問弁護士や法務部門がかかわる

契約書の内容に関する交渉を始める際には、当事者のどちらかから最初に雛形が出されます。しかし、その雛形は、当然に完璧な内容であることは多くなく、解釈に相違が生じる可能性があるような抽象的な文言が記載されていたり、あいまいさを残す文言が記載されていたりすることも珍しくありません。

そこで、企業間の場合は、顧問弁護士がいれば交渉の段階で顧問弁護士がチェックを入れたり、顧問弁護士が同席して相手方と交渉を行ったりすることもあります。契約交渉がまとまったら、交渉内容を反映させたうえ、契約書を当事者の数分作成し、法
務部が社内の印鑑使用規定等内規に基づいて記名・押印し、当事者間で1通ずつ保管します。

契約書の管理・保管や破棄も厳重に行う

保管するときは、ファイリングのルールなどを決めて効率よくなおかつ情報漏洩のないように安全に管理しますが、企業の中にはコピーを社内で保存し、原本を銀行の金庫に預けておくところもあります。契約書の保存期限は、当該契約の有効期間によるものの、7年間程度が一般的です。

契約書の保存期間が終了したら、細心の注意を払って破棄します。破棄する場合は、シュレッダーで処理するほか、業者に依頼して溶解処理する方法もあります。

 

個人―企業間で契約書を締結する場合の進め方

他方で、フリーランスや個人事業主などは、法務担当者も顧問弁護士もいないことがほとんどです。そのため、契約書に関する交渉や契約手続きなどの法務業務は自分自身で行わなければなりません。

個人の場合は企業側から契約書を受け取ることがほとんど

企業と業務委託契約を締結する際は、たいていの場合取引相手の企業から先に契約書を受け取ることになります。その際、その契約書を自分自身でよく読みこんで、あいまいになっている点や自己に不利になる点を見つけ出し、自力で修正を求めて交渉を行うことが必要になります。大企業であるから双方にとってある程度公平な契約書が出されるものと信頼している個人事業主の方は多いものの、そのような姿勢は非常に危険です。

たとえば、契約書の中に記載されている「損害賠償」という条項で、企業から以下のような規定が提示されることがあります。

【例】損害賠償の項目ひ潜むリスクと自衛方法

「乙(フリーランス)は、本契約における義務の履行に関して甲(企業)に損害が生じたときは、甲に対して当該損害(弁護士費用その他専門家費用、人件費、逸失利益等一切の損害を含む。)を賠償する義務を負う」

この文言では損害や賠償金額の範囲が限定されておらず、機会損失による将来の売上減など、企業側に生じる可能性のあるすべての損害について、フリーランス側が高額な賠償金を請求されるおそれがあります。そのため、以下のような文言を入れてもらうよう修正を要求することが必要です。

「乙は甲に対して、直接かつ現実に生じた通常の損害のみ賠償する責任を負う。ただし、
かかる損害賠償請求の金額は、●ヶ月分の業務委託料を上限とする」

受託者側に立つことの多いフリーランスは、損害賠償リスクも負うことが多いため、上記のように企業側に修正を依頼することが望ましいといえます。損害賠償責任の上限を定めることは、将来の損害賠償リスクを低減させる意味だけでなく、損害を未然に防ぐために払うべき注意義務の程度を画する意味をも持ちます。将来多額の損害賠償を負う可能性が見込まれる場合、その責任を生じさせないためにあらゆる手段を使って調査確認をして、注意を払わなければなりません。しかし、そうすると多大なコストがかかってコスト倒れとなってしまうため、受託者側に上限規定を設ける必要性があるのです。

また、フリーランスや個人事業主の場合は、交わした契約書は専用のファイルなどに入れて保管することが多くみられますが、企業間での契約と同様に、情報漏洩のないよう安全に保管することが必要です。契約書は最低でも5年以上は保存し、その後シュレッダーなどを使って慎重に破棄しましょう。なお、原本を破棄したとしても、数年後のトラブルが生じる可能性は否定できないことから、スキャンデータ等の形式で残しておくことが望ましいです。

【例】有効期間の項目に潜むリスクと自衛方法

たとえば、業務委託契約書の有効期間について「有効期間を1年とする」と定めていても、業務委託契約書の中の「秘密保持義務」の部分については、「本契約を終了または解除した後も3年間存続する」と規定されているケースがあります。つまり、業務委託契約そのものは1年で終了するものの、秘密保持義務だけは継続的に課されていることになるのです。

上記のような事例で、契約期間が経過したからといって1年後に契約書の管理を怠り紛失したとします。
この場合、自己に秘密保持義務がどれくらいの期間課されているのか確認することが出来なくなります。仮に相手方が契約書の規定と異なる主張をしたとしても、確認する術がないため、対応に困難を要することもあるでしょう。

 

契約書に含まれる不利な条項を個人が見つけることは困難

今まで見てきたとおり、企業と個人とでは契約という局面で大きな力の差があります。契約書に書かれている文言は難解な場合が多いので、個人にとっては、よほど法律や契約書に詳しい人でなければ契約書の中から自分にとって不利な条項を見つけだすのは難しいでしょう。そのため昨今では、自分にとって不利な文言が契約書に隠れていることに気づかないまま署名・押印してしまい、実際に業務に着手してから成果物の内容や報酬の支払いの段階でトラブルに発展するケースも数多くみられるようになっています。

 

たとえば、契約条項の中に「乙(フリーランス側)は、不合格となった成果物についてすみやかに修正し、甲(企業側)が指定する期日までに再納品する。ただし、それでもなお検査基準に達しなかった場合は、報酬の支払い対象にならないとする」という文言が入っていた場合、何度修正しても合格にならず結局報酬がゼロになってしまう可能性があります。
そのため、このような事態を避けるためにも、「修正は2回までとする。○日以内に合否の連絡がない場合は、自動的に報酬を請求できるものとする」というような文言を入れるよう相手方に修正を求めると良いでしょう。

フリーランスや個人事業主がこうしたトラブルを未然に防ぐには、顧問弁護士を雇ったり、契約書のチェックを弁護士に依頼したりして、自衛することが非常に重要となります。

しかし、弁護士を利用すると高額な弁護士費用がかかることもあり、弁護士の利用に二の足を踏んでしまうフリーランスや個人事業主も少なくありません。弁護士に単発で契約書のチェックを依頼する場合には、定型的なもので3~12万円程度、専門的なものになると20~30万円程度が費用の相場です。また、顧問弁護士を雇う場合には、法律相談・簡単な文書作成・契約書チェックなど、最低限の対応を依頼する場合では3万円/月~、紛争解決なども依頼しようとすれば10万/月~程度かかることも考えられます。

 

AI-CONが契約書チェックの手間暇とコストを削減

弁護士の代わりに、AIとクラウドを使って自動的に契約書のリスクを判定してくれるのが、AI-CONというシステムです。AI-CONには、契約書チェックにかかる費用が弁護士に依頼をする時と比べて大幅に安く済むというメリットもあります。

AI-CONが不利な条項の改善案を提示

AI-CONは、単に契約書のレビューをするだけでなく、自分にとって不利な条項があればそれを指摘して、有利になるような改善案を示してくれます。さらに、一般的な契約書には記載されないような内容があれば、アラートで教えてくれるので契約書や法律に詳しくない人でも安心です。

AI-CONで契約書チェックにかかる費用もおさえられる

AI-CONを使えば、わざわざ腕の良い弁護士を探して契約書チェックを依頼する必要もありません。一般的には弁護士に契約書のチェックを依頼すれば、1回で数万円もかかりますが、AI-CONでは費用を何分の1にもおさえることが可能です。そのため、フリーランスや個人事業主などにとっても手軽に使えるツールであると言えるでしょう。

フリーランスや個人事業主など、個人で働く人は企業に比べてどうしても立場の上で不利になりがちです。しかし、AI-CONを使うことで、自宅や事務所で気軽に契約内容のチェックができる上に、契約書チェックにかかる費用もかなり抑えることができますので、契約書の中に不利な内容がないかどうか気になる方は一度チェックされてみることをおすすめします。