【知っておきたい】業務委託契約書の中で個人がクライアントと調整できるポイントとは

フリーランスや個人事業主などの個人がクライアントである企業と業務委託契約を結ぶときは、企業が先に契約書を出してくるケースが一般的です。これは、企業が相手方より有利に取引を進めるために、リスクを避けて自社に有利な条項を盛り込みたいと考えていることが大きな理由です。

では、弱い立場に立たされがちな個人がクライアントに太刀打ちできる方法はあるのでしょうか。本記事では、個人がクライアントと交渉で調整しうるポイントについて考えてみたいと思います。

 

契約書の交渉ポイント①:経費

交通費や資料代などの業務に必要な経費については、契約当事者のどちらが負担するのかをきちんと定めておくことが重要です。クライアント側は少しでも経費を抑えるために契約書上で「経費は報酬に含める」といった形にしがちです。
しかし、経費を報酬に含めてしまうと受託者の手取り収入がその分少なくなってしまいます。そのため、たとえば「交通費その他本業務の遂行に必要となる費用は甲(クライアント側)の負担とする」「事前に合意した費用は甲(クライアント側)の負担とする」という1文を盛り込んでもらえるように提案し、経費負担の交渉の機会を確保することが重要です。

そのうえで、条項の追記が難しい場合は、「経費をこちらで負担する分、報酬を少し上乗せしてもらうようにする」などの交渉を行うことが重要になるでしょう。契約書の条項の追記や修正を求めることで、交渉の機会を確保することは非常に重要なことです。

 

契約書の交渉ポイント②:支払期限

報酬を支払う側であるクライアント側からすれば、支払期限は少しでも遅い方がありがたいもの。そのため、契約書上ではクライアントから「月末締め翌々月末払い」といった支払期限を設定されることがあり得ます。

しかし、下請法が適用される取引では、クライアントが成果物を受領した日から起算して60日以内に報酬を支払わなければなりません。たとえば5/1に下請事業者が成果物を納入した場合は、クライアントである親事業者は6/30までに報酬を支払うことになります。

そのため、「月末締め翌々月末払い」といった支払期限は、下請法に反し違法となることに留意することが必要です。
また、支払期限が納入時からの起算でなく、検収の完了時点からの起算となっている場合も支払期限がいつまでも到来しないケースとなりうるので、支払期限の起算点についても注意が必要です。

 

契約書の交渉ポイント③:知的財産権の帰属

業務委託契約の中で、成果物にかかる著作権などの知的財産権について、契約当事者のどちらに帰属するかについてあらかじめ定めることが必要です。クライアント側にとっては、「成果物が納入されると同時に知的財産権も甲(クライアント)に移転する」とする方が、成果物を即時に利用し、加工したり複製したりするときに好都合です。

しかし、受託者が知的財産権を移転させずに許諾(ライセンス)の形としたい場合は、契約書で「乙(受託者)は甲(クライアント)および甲の指定する第三者に本契約の目的の範囲で成果物を使用・複製・改変・頒布することを許諾する。これらの者に対し、乙は著作者人格権を行使しない」といった条文を付け加えるよう、クライアントと交渉するとよいでしょう。

 

契約書の交渉ポイント④:契約解除

取引を行っている中で、受託者がクライアントの信頼を損ねるようなことをした場合、クライアント側からすればただちに契約を解除し、他の業者へ委託できるようにすることが望ましいでしょう。そのため、契約解除条項には「乙(受託者)が次のいずれかの号に該当する場合、甲(クライアント)は何ら催告することなくただちに契約を解除できる」とされることがあります。

しかし、受託者側からすれば、クライアントのほうに問題があればこちら側からも契約を解除できる余地を残しておきたいこと、また、契約を解除されるとたちまち経済基盤が不安定になるおそれもあることから、主語を「甲または乙」とし、「相手方は相当の期間を定めて履行の催告をし、当該期間内に履行がなされなかった場合には」と条文を変更してもらうようにするのがよいでしょう。

また、無催告解除の事由に、「信頼関係が破壊されたとき」といった抽象的な定めが置かれている場合も注意が必要です。一般的に解除を受けることで不利益を受けるのは、受託者の方であるため、抽象的な事情をもって解除をされてしまうような規定については、きっちりと修正を要求するのがよいでしょう。

 

契約書の交渉ポイント⑤:損害賠償

契約解除条項と切っても切れない関係にあるものが、損害賠償に関する条項です。契約解除に関する条項があれば、その前後もしくは契約解除条項の中に必ずといって良いほど損害賠償に関する規定が含まれています。

クライアント側からすれば、いつどのような損害を被るかわからないため、「乙(受託者)は甲(委託者)に生じた一切の損害(弁護士費用その他専門家費用や逸失利益等を含むが、これに限られない)を賠償しなければならない」のように、金額を特に定めずに損害賠償費目についても広く規定するケースが多く見受けられます。

しかし、受託者側からすれば、万一クライアントに損害を与えたときに損害賠償金として法外な金額を提示される可能性もあるため、主語を「甲または乙は」とした上で、「相手方に損害が生じたときは、金〇万円(もしくはこれまで乙が甲から受け取った報酬金額)を上限としてその賠償を行うものとする」などと、契約書の中で具体的に金額を指定し上限を設けることができるよう、交渉しておくとよいでしょう。

 

AI-CONでクライアントとの交渉ポイントを知ろう

以上のように、どの条項をとってみても、受託者にとって不利になり得る要素が契約書の中に見え隠れしています。そのため、契約を結ぶ際には時間をかけてじっくり契約内容を精査し、クライアントと交渉の余地がないかどうかを検討するのが理想的です。

しかし、そのような手間暇をかける時間がない場合は、AI-CONのようにオンライン上で契約書のレビューやリスク判定を行ってくれるサービスを利用して、クライアントと交渉すべきポイントを把握するのもひとつの方法ではないでしょうか。

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