【ポイント解説】業務委託契約書(委託者側)

業務委託契約書とは?

業務委託とは、一定の業務を外部の業者に対して依頼することです。アウトソーシング(外注)という表現が用いられることもあります。業務委託契約書は、その業務委託の契約をしたということを裏付ける書類です。たとえば、コンサルティング業務、デザイン制作業務、システム開発業務といった業務を外部の業者に委託するときに、この契約書がつくられます。業務委託といっても様々ありえますが、基本的には「●●業務委託契約書」という名前で契約書がつくられます。

基本的な構成

  • 業務を委託する旨の条項
    • 業務の内容を特定する条項
    • 業務の進捗を報告させる条項
    • 業務の完了をチェックする条項
  • 業務に対してお金を支払う旨の条項
    • いくら支払うのかを定める条項
    • どうやって支払うのかを定める条項
    • いつ支払うのかを定める条項
  • 一般条項(ほかの契約書でも入れる条項)

委託者(業務を頼んだ人)の側からみたときのポイント

業務を頼んだ人の立場からすると、業務を頼む際の最大の関心事は、業務を受けた人が期待した仕事をしてくれるかどうかです。そこで、業務委託契約書では、自社の意図したとおりに業務を受けた人が仕事をしてくれるか、期待した仕事をしてくれそうにない場合にいかにして報酬を支払わないかが非常に重要となってきます。

もしそのような手当をしなければ、期待していた成果が出てこないにもかかわらず、延々と会社のお金を使い続けるなどといった事態になりかねません。場合によっては、その業務を受けた人の仕事が関わるプロジェクトは進まなくなり、自社の担当者が本来投下できたはずのリソースをその業務を受けた人の対応にあてなければならなくなるといったように、自社に大きな損失を与えることにもなってきます。そこで、契約書中では業務内容の特定や、仕様の特定業務を受けた人の報告による状況把握を規定することにより、双方の認識に齟齬を生じないように工夫する必要があります。また、もはや業務の続行が困難になった場合に備えて、契約の解約や解除について手当てすることが必要です。

解除条項中途解約条項

業務を頼んだ人の立場からすると、業務委託契約の狙いは、自社にその成果物に係る知的財産権を帰属させることにあるという場合が多いものと思われます。知的財産権を帰属させないタイプの業務委託契約書でも、少なくとも成果物の利用について許諾されていなければ意味がありません。むしろ、自社に知的財産権を帰属させないのであれば、それは業務委託契約ではなく、「共同研究開発契約」や「業務提携契約」で行うことが考えられてよいでしょう。業務を受けた人に支払う報酬は基本的にその知的財産権の移転についての対価分を含めて考えておくほうが望ましいと思われます。仮に知的財産権の帰属について手当しなければ、法律上の原則はたいてい業務を受けた人に対しそれらを帰属させる方向性になっていますから、業務を受けた人によってその知的財産権に係る差止請求権を行使されるなどして自社のビジネスが停止しかねません。このようなことになれば会社としては大損害です。そうならないように、知的財産権の帰属に関する契約条項は必ず確認してください。

知的財産権帰属条項

さらに、業務委託契約においては、業務を受けた人に対して業務を遂行させる際に、業務を頼んだ人としては必然的に自社の情報を与えることになることが多いと思われます。したがって、業務を受けた人に渡した情報が漏洩しないよう、秘密保持条項を入れるのは必須ですし、自社が業務を受けた人に対して提供する紙の資料や電子データの取り扱いについて厳格な管理を求める趣旨の条項を入れることも必須です。万が一、企画書や設計図などが漏洩したら、ビジネスに対する負の影響が大きいことは言うまでもありません。そもそも自社から業務を受けた人に対して最小限の情報しか渡さないように心がけることも大切ですが、業務を受けた人に生産的な仕事をしてもらうためにはどうしても自社から情報を出さざるを得ない場合も多いのではないかと思います。そうである以上、業務委託契約書においては、情報の漏洩を防止できているかどうかをよく確認しておく必要があるのです。

秘密保持条項

まとめ

まとめると、業務を頼んだ人の立場としては次の点を確認しましょう。

  1. 業務内容が把握できるような条項
  2. 業務を頼んだ人側から解約や解除を行いやすい条項
  3. 業務を頼んだ人側に知的財産権を帰属させる条項
  4. 業務を受けた人が秘密保持義務を負う旨の条項

(平塚)

この記事が気に入ったらいいね!をお願いします