【ポイント解説】工事請負契約書/建築請負契約書/建設工事契約書

(※以下は民間の工事請負契約を念頭に置いています。)

工事請負契約とは?

工事請負契約とは、建設業者が工事を完成することを約し、注文者がその結果に対して工事代金を支払う旨の契約のことです。たとえば、住宅やマンションを建てたり、リフォーム工事を実施したりする場合などに、発注者と受注者の間で締結されます。

工事請負契約は、民法上の請負契約の典型例であるといえるかもしれません。もっとも、民間の建設工事では民間連合協定標準工事請負契約約款が用いられるなどしており、実際には単なる請負契約から外れる要素が出てきます。また、工事請負契約に対しては、建設業法という行政的規制がかかります。このように、工事請負契約については、その類型的な特殊性を考慮する必要があるといえます。

工事請負契約に関するトラブルの特徴

工事請負契約は、目的物や作業規模の大きさから比較的高額な取引となることが多く、また、工事の規模が大きくなるほど長期の契約となる傾向があります。つまり、工事請負契約は一歩間違えると深刻なトラブルになりやすい契約類型であるということです。たとえば、典型的には、工事が不十分であったこと(建築瑕疵)に関するトラブル、工期の遅れに関するトラブル、追加変更工事に関するトラブルのほか、工事の中断に関するトラブルがあげられます。これらは、しばしば額の大きい訴訟に発展するトラブルです。建築関係の訴訟は専門性が高いため、解決に相当の長期間を要することにもなる可能性があります。

これらのトラブルは内容がしっかりした契約書をつくらないからこそ生じるものです。たとえば、契約書をつくらずに発注書・受注書のやりとりで簡易に済ませてしまった場合や契約書をつくったとしても規定に漏れがあったりした場合、工期の変更や工事内容の追加・変更等の重要事項を口約束で行ったりした場合には、その後、トラブルに発展するリスクは飛躍的に高まります。工事が遅延した場合や目的物に瑕疵があった場合に損害額が大きくなりがちなこと、工事後に修繕を行うと多額の費用がかかりやすいことなどを考えると、工事請負契約において契約書を作成しておくことは当然であり、その内容としても、工事の進め方、支払方法、責任の所在やトラブル発生時の対応などを明らかにした契約書を用意することが非常に重要といえます。

工事請負契約書のポイント――重要事項14項目

それでは、工事請負契約の契約書には何を記載しておけばよいのでしょうか?

請負契約は、本来、対等な立場で合意し、それを履行するものです。しかし、実際の工事請負契約の内容は不平等になってしまいがちでした。そこで、建設業法は、これを是正するべく、当事者間の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結させることをひとつの原理としています(同法18条)

同法第19条では、このような趣旨に従って、「建設工事の請負契約」(工事請負契約)の当事者は、契約の締結に際して同条所定の事項を書面に記載し、記名押印等して相互に交付しなければならないものとされています。言い換えれば、同条は、契約内容が不明瞭であることによる紛争を未然に防止するため、しっかりした内容をもった契約書の作成・交付を当事者に対して(訓示的に)義務づけているのです。

建設業法第19条によって記載を要求されている事項は全部で14号分あることから、これを「重要事項14項目」や「必須14項目」などと呼びます。この14項目については、不明瞭な内容の取引を排除する趣旨から、契約書への記載が必要ということになります。したがって、契約書の作成・審査においては、これらの抜け漏れがないか確認する必要があるのです。

重要事項14項目の内容(建設業法19条第1項各号の内容)

  1. 工事内容
  2. 請負代金の額
  3. 工事着手の時期及び工事完成の時期
  4. 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
  5. 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があつた場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め
  6. 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め
  7. 価格等(物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)第二条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更
  8. 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
  9. 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
  10. 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
  11. 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法
  12. 工事の目的物の瑕疵かしを担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
  13. 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
  14. 契約に関する紛争の解決方法

また、契約書中の上掲の14項目を確認することに加え、見積書や平面図・立面図・断面図等の図面の内容も確認しておきましょう。

まとめ

工事請負契約においては、規定内容が自社にとって不利になっていないかという一般的な事項に加えて、

  • 定めるべきことが定められているか(14項目の有無)

を確認する必要があります。

「必須14項目」の抜け漏れチェックには時間と手間がかかるものです。また、工事請負契約は、内容が複雑かつ専門的であり規定内容の分量が多いため、確認に多大な時間がかかることが予想されます。その上、上述のようにトラブルが深刻化しやすく、契約書に潜むリスクは相当高いといえます。

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